◆カモ

メジロガモ

 ここのところメジロガモの検索によるアクセスが多数来ているので、最近観察されているメジロガモとされる2個体について少し具体的に書いてみる。

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       ≪画像は以前九州に渡来した雄成鳥≫

新潟県阿賀野市瓢湖の個体:メジロガモとホシハジロの交雑個体成鳥雌。

 この個体は純粋なメジロガモの可能性は全くないので、ネットやマスコミで見られる「メジロガモ」という表記は不適切。「メジロガモとホシハジロの雑種」、または「メジロガモ×ホシハジロ」と表記すべき。「メジロガモ(交雑種)」という表記も正しくない。
 
 アカハジロとホシハジロの交雑個体も酷似するので、厳密にいうとなかなか難しいが、嘴のサイズ、頭の高く盛り上がった形状などからメジロガモとホシハジロの雑種と見るのが妥当と思う。ともかく雑種であることは間違いない。
 幼羽がどこにも見当たらないので成鳥でいいと思う。純粋なメジロガモでなく交雑個体とする根拠は、1.嘴先端の黒い斑がメジロガもより幅広く横に広がっていて、黒色部は全体が明確に黒い。嘴の形もホシハジロとの中間的に見える。 2.肩羽、脇に細かい波状虫食横斑があり、そのため特に脇はメジロガモより明瞭に淡く見える。以上2点がおもな根拠。下尾筒がよく見える真横からの画像が見当たらないので判断が難しいが、白色部はメジロガモより狭いようにも見える。
 
関西の個体:メジロガモ雄幼鳥。

 幼羽はわかりやすい部位でいうと、胸側から背にかけてと腹に明瞭に残っており、間違いなく今年生まれの幼鳥。幼鳥の換羽についてはメジロガモに詳しいヨーロッパの文献に記述があり、11月末に成鳥に近い羽衣になるものから3月まで多く幼羽を残すものがあり非常にその換羽の時期に幅がある。また幼鳥の虹彩の色は、最初grey-brown(灰褐色)でpale-grey(淡灰色)になる。越冬期に成鳥に近い白色になる個体も多いものと思う。この個体は成鳥に近い白色に見えるし、たとえ褐色味、灰色味があったとしてもホシハジロとの交雑の影響は考えなくていいと思う。
 嘴先端の黒色部は嘴爪からその横にかけてある。メジロガモ幼鳥としてこの黒色部が広すぎるかというと、特に広くはない。この黒斑の範囲については以前九州に複数年渡来した個体で確認できている。幼鳥の1年目は今回の個体のような黒斑だったため雑種ではないかという人もいたが、翌年は嘴爪周辺の黒色は狭くなっていた(画像)。現状の横に広がった黒斑もホシハジロとの雑種のようなベタッと全面に黒い斑ではなく、雑種を疑うものではないと思う。なお、メジロガモの黒色斑はもともとアカハジロよりは幅広い。
 ホシハジロとの雑種に見られる脇の波状虫食い横斑は、ネット上のどの画像にも見られないのでないと考えていいと思う。
 嘴がやや大きいのではないかと感じた人がいるかもしれないが、これはこの個体が幼鳥であることが関係していると思う。頭の羽毛が痩せ気味で頭が小さく見えるので、相対的に嘴が長く大きく見えているのだと思う。ホシハジロ幼鳥は嘴が大きく感じるため、オオホシハジロと誤認されることがあるのと同じ理屈といえる。
 以上のことから、この個体は純粋なメジロガモ雄幼鳥と考えている。
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Commented by おでん屋 at 2012-12-26 00:21 x
ご無沙汰しています。新潟の個体は、11/5に至近距離で尾羽の先端の形状を確認でき、ハジロ属の成鳥のものでした。大きさはキンクロハジロ♂よりすこし大きく見えました。
Commented by redshank_u at 2012-12-26 00:52
お久しぶりです。
雑種ということで落ち着いているかと思ったら最近はメジロガモにされていたりしますね。やっぱりこれは成鳥ですね。
Commented by Shin's at 2012-12-27 17:53 x
どうも釈然としない部分があって、1点お教え頂きたいのですが・・・
外国の写真素材ページ Pbaseの
Christopher Plummer | all galleries >> European (Western Palearctic) birds >> Anseriformes >> Hybridsに
ある2010年11月スイス、モルジュで撮影されたオス幼鳥と判断できる
この画像も純粋とお考えでしょうか、それとも表記通り雑種でしょうか?
雑種という概念は第1世代のみに適用判断すべきか、また遺伝子浸透の結果や
個体差をどの程度折り合いをつけて考えるべきか分からずにいます。
道昭氏の記事内容も十分に理解しているつもりですが、アメリカヒドリの純粋度判断と今回のメジロガモのそれでは温度差があるように感じられて
お聞きする次第です。
Commented by redshank_u at 2012-12-27 21:27
画像が少ないですがこれを見る限り、スイスの個体は虹彩、嘴、脇、下尾筒などすべて雄幼鳥の特徴をよく備えていて、メジロガモ雄幼鳥でいいと思います。
嘴の黒斑の見えている部分はこのサイトのほかの雑種のような明確な黒ではないですね。
たくさん集めたメジロガモの画像を見ると、雑種の特徴が全くない個体の嘴の黒斑は黒の幅に個体差があるのは明らかです。幅が広めの個体がかなり多いですね。この幅が少し狭い広いで雑種かそうでないかを云々するのは賢明でない気がします。個体差があるということでいいと思います。
遺伝子浸透とわかる特徴も表れていないと思うので、関西の個体、スイスの個体とも雑種でないメジロガモといっていいと思います。
Commented by Shin's at 2012-12-28 22:27 x
お聞きする前から答えはわかっていた感じで、過去のBird Forumの質問と回答のリンク先画像から予想された内容です。
前回のマガモ記事コメントのように半分ボケでコメントすることもありますが、
今回は真剣にお聞きしても直ちには納得がいかない部分もあって、過去の
多くの記事内容や掲載画像には特に説明がなくても概ねその意味するところが
分かっていましたが、得心するまでやや時間がかかりそうです。
回答をしっかりと吟味し、年齢、虹彩色、嘴パターン、頭部形状、脇腹の赤褐色味の
関連性を自分なりに結論づけたいと思います。
どうも、ありがとうございました。
by redshank_u | 2012-12-25 09:43 | ◆カモ | Trackback | Comments(5)

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