・記憶に残るカモメたち

記憶に残るカモメたち4-ヒメクビワカモメ幼羽

 2000年1月14日、銚子、波崎でヒメカモメまたはクビワカモメが発見されたという電話を知人から頂いた。鳥のベテランのある方はヒメカモメといい、ある方はクビワカモメとの判断だという。早速翌日波崎側に出かけた。着いて機材をセットするかしなかという早いタイミングでそのカモメが飛んで来るのを息子が見つけた。防波堤に降りたそのカモメの姿を見て二人とも「これはヒメカモメではない」と即断した。ヒメカモメはもっと寸詰まりの体型をしているが、このカモメはかなり横長く見える。息子は間を置かず、ヒメカモメ、クビワカモメのどちらでもなくヒメクビワカモメと同定した。飛んでくる時、楔形の尾羽を見ていたのだ。この同定には、いつの間にか周りに集まっていた人たちから不服の声が聞こえてきた。この少し前、谷津干潟に出た第1回冬羽とは、姿形があまりにも異なっているので、簡単には理解できないのも無理もない。しかし、ちょっとした外見の違いに惑わされず、その種の本質的な形態の特徴を掴むことが大切だと思う。幼羽のためか、全体にやせ気味だが基本的な形態はヒメクビワカモメそのものだと思う。この時期まで幼羽を多く残しているということは、栄養状態が良くないのかもしれない。

 このあと、この同定に納得がいかない方かどうか分からないが、イギリス人に画像を送って見てもらったところ、ヒメカモメだという答えが返ってきたという話を聞いた。前々回のホイグリンカモメの記事にも書いたとおり、欧米人の方でもその識別の力量は人によって千差万別。どういう方にどういう画像を送るかで答えは違ってくる。楔形の尾羽の画像は送ったのだろうか? その画像を見たうえでそういう答えが出たとすると、その方の識別力がどの程度のものか容易に推測できる。その方がカモメが得意か不得意かも関係してくる。世界的にもほとんど知られていなくて資料が極端に乏しいヒメクビワカモメの幼羽より、よく知られたヒメカモメ幼羽に似ていると判断した可能性はある。ともかく欧米の人の意見だからといって何でも全て有難がる必要はない。飛翔パターンの違いも明白で、ヒメカモメは絶対ありえない。

 このカモメを見に集まった人の中には、ヒメカモメであってもクビワカモメであっても、どっちに転んでも一種増えると目論んでいた人が多いだろうから、そのどちらでもなく、つい先日谷津干潟で見たばかりのヒメクビワカモメだといわれて損をした気分になったかもしれない。でもヒメクビワカモメの幼羽は世界的大珍鳥で、ヒメカモメなど足元にも及ばない。それを見ることができた有難さをもっとわかって欲しい。

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by redshank_u | 2010-10-19 08:23 | ・記憶に残るカモメたち | Trackback | Comments(0)

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